ほんとうにあったこわいはなし

　朝の５時、１０分くらい前。
　部屋の窓も廊下の窓も全開で心地よい眠りを貪る私の耳に突然、けたたましい喚き声というか叫び声が響き渡って目が覚めました。

　……朝っぱらからサカってんじゃねーよ、猫……。

　私の起床時間は５時半なので、もうあとちょっとのところでした。私の４０分を返して……！！！

　猫の発情期がいつ辺りなのかはよく知らないのですが、何か前触れもなくいきなりでひとしきり喚き散らした後はピタリと止まったので、サカりとはまた違うのかもしれません。
　とりあえず貴重な４０分を無駄にされたことに変わりはありません。

　とか考えていて思いだしたことがあったのですが、
　あれは一昔前のこと、友達と怪談話をしたことがあったのです。
「これは本当にあった話なんだけど、うちの近所で毎晩、夜な夜な、どこからか赤ん坊の泣き叫ぶ声が響き渡るのよ」
「……どっかの家に赤ちゃんがいるんでしょ」
「それが近所のどの家にもいないのよ」
「へー」
　……と、言ったところで唐突に怪談話がお開きになってしまい（！？）、

「それは夜な夜なサカりまくる猫の鳴き声だったんだけどネ」

　というオチに持っていくことができなかったのです……！！（失笑）


　……ああ、私って本当に口下手だな……と、思ったものでした……。


　あ、あの時こう言いたかったんだよこの言葉を使えばよかったんだよ、と思いつくのが、会話の翌日だったりすることが……あるのよ…………がくり。
　リアルタイムで生きていくのは難しいね……（それは人として生活することを放棄してんのか）